2011年9月27日火曜日

部橋妻部の効果予測

Nikkei Medical OnLine
学会スペシャル:第16回欧州癌学会/第36回欧州臨床腫瘍学会
2011年9月23日〜27日 Stockholm, Sweden
2011. 9. 27
血漿中のVEGF-Aがベバシズマブの効果予測バイオマーカーとなる可能性【EMCC2011】
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/esmo2011/201109/521704.html
森下紀代美=医学ライター

関連ジャンル: 癌
 転移を有する進行癌にベバシズマブを投与した6件の臨床試験について、新しいELISA法を用いた再解析を行った結果、血漿中のVEGF-A(pVEGF-A)は、乳癌、胃癌、膵癌で予後予測だけでなく効果予測のバイオマーカーとなる可能性も示された。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されているThe
2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC)で、英Christie
Hospital and University of ManchesterのGordon C. Jayson氏が発表した。

 ベバシズマブの効果予測バイオマーカーはまだ得られていない。予後予測のバイオマーカーとして、pVEGF-Aが有用である可能性が報告されている。

 Jayson氏らは、可溶性で短いVEGF-Aのアイソフォーム(VEGF-A121とVEGF-A110)に感受性が高い新しいELISA法を用いて、転移を有する進行癌にベバシズマブを用いた6件の試験について、治療前のpVEGF-Aの値による予後予測と効果予測の可能性を評価した。6件の試験は、AVF2107g試験(大腸癌)、AVAiL試験(非小細胞肺癌:NSCLC)、AVADO試験(乳癌)、AVOREN試験(腎細胞癌)、AVAGAST試験(胃癌)、AVITA試験(膵癌)。pVEGF-Aは中央値をカットポイントとして「高値」と「低値」に分類した。

 その結果、乳癌、膵癌、胃癌では、pVEGF-Aは予後予測と効果予測のいずれの可能性も持つことが示された。効果予測の可能性について、AVITA試験のOSに対するハザード比は、pVEGF-A低値で1.02、高値で0.56となり、高値で有意に改善した(p=0.03)。AVAGAST試験のOSに対するハザード比はそれぞれ1.01と0.72(p=0.07)、AVADO試験のPFSに対するハザード比はそれぞれ0.86と0.49だった(p=0.08)。

 しかし、大腸癌、NSCLC、腎細胞癌では、pVEGF-Aの予後予測の可能性は示されたが、効果予測の可能性は示されなかった。

 pVEGF-Aが効果予測バイオマーカーとなる可能性が乳癌・膵癌・胃癌では示され、大腸癌・NSCLC・腎細胞癌で示されなかった理由について、Jayson氏は、可溶性の遊離VEGF-AであることやVEGF110とVEGF121に対する感受性など、アッセイの特性が重要な役割を果している可能性があると説明した。

 また、AVADO試験、AVITA試験、AVAGAST試験の標本はEDTA血漿、AVF2107g試験、AVAiL試験、AVOREN試験の標本はクエン酸塩であること、大腸癌や腎細胞癌では標本が長期間保存されていたことも、結果に影響した可能性が考えられる。

 Jayson氏は、推定される複数のベバシズマブの効果予測バイオマーカーのうち、pVEGF-Aは第一の候補であり、前向き臨床試験で臨床使用の可能性を検証中であると紹介し、「現時点では臨床でのVEGF-Aの測定は待ってほしい」と話した。
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みんなが一番知りたいのは、効果の予測なのよねん。
なんぼ効くのん?って。
いやいや、あんた、抗がん剤なんて効かんで当たり前やん。
そうそうそう。
最近は、ALKとその変異?の有無の検査がセットだったし。
新しいモノには、新しい検査が必要になる。
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学会スペシャル:第16回欧州癌学会/第36回欧州臨床腫瘍学会
2011年9月23日〜27日 Stockholm, Sweden
2011. 9. 27
増悪後のベバシズマブの累積曝露で進行大腸癌患者の生存期間が改善する可能性【EMCC2011】
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/esmo2011/201109/521707.html
森下紀代美=医学ライター

関連ジャンル: 大腸癌
 進行大腸癌患者を対象とした前向き観察コホート試験のARIES試験において、最初の増悪(PD)後のベバシズマブの累積曝露はPD後の生存期間(post-progression
survival;PPS)と相関し、累積曝露によりPPSが延長する可能性が示された。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されているThe
2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC)で、米Mayo ClinicのA.
Grothey氏が発表した。

 ARIES試験は米国内の248施設で行われている。同試験の過去の解析では、ベバシズマブ投与後にPDを認めてもベバシズマブを投与し続けること(BBP)により、BBPを行わない場合と比較して生存期間が延長することが示された。

 今回の解析では、BBPの累積曝露が生存期間と相関するか否について評価された。評価は、臨床でみられるベバシズマブの治療パターンの動的かつ時間的に変化する特徴を組み込んで行われた。対象は、同試験に参加した、転移を有する、または切除不能な進行大腸癌で、ファーストライン治療でベバシズマブを投与し、最初のPDを認めた生存中の患者とした。

 PPSは最初のPDから死亡(原因を問わない)までの期間と定義した。ベバシズマブの曝露は、追跡期間を通して最初のPD以降に投与したベバシズマブの累積量と定義した。

 ファーストライン治療には1550人が登録され、2011年2月14日の時点で1183人(76%)に最初のPDを認め、解析の対象とされた。対象の年齢中央値は62歳、男性の割合は55.5%、ECOG
PSの中央値は0、大腸癌が75.8%を占めた。

 最初のPDを認めた患者のPPSの中央値は、13.3カ月(四分位範囲:5.8〜27.0)だった。

 追跡期間を通し、PPSのハザード比は、ベバシズマブの追加投与ごとに平均で2.0%(範囲:1.7〜2.3%)低下した。ベバシズマブの累積曝露は、PPSの改善と統計学的に有意に相関した(p=0.0002)。

 Grothey氏は「PD後のベバシズマブの効果を検討する前向きの無作為化フェーズ3試験のデータが間もなく発表される予定」としている。
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どこかで、エルロチニブも低用量で続けるのがよい、とするお話があった。とくに、EGFR-TKIは増悪傾向にあっても、それなりに効果を発揮して居て、中止するとそれ以上に悪化する可能性がある。って継続するのがイイという話も聞いたことがある。
でも、先日、病棟薬剤師さんと雑談していて、NSCLCのベバシツマブ維持療法ってのは眉唾だと。

最初に適応になった大腸癌では、NSCLCより投与量は低いものの、単独維持療法なんてのは無かった。これで効果があるのかなあって思ってた。って。
そうか。
確かに効かなかったよお。
読みがあたってるじゃん。
みたいな話だった。

結局、ベバシツマブって、ドラッグデリバリーに長けていて、相手がいないと、ひとりじゃ何にも出来ない奴なんじゃないかって、そういう話になった。
でも、ひとりでもコツコツと続けていれば効果はあるかもってコトかしらん。
ま、大腸がんの話だけど。
それに、それまで待っていられるほどベバシツマブは、安くないよね。